背中が荒れている。
皮膚科を受診した。
そこはおじいちゃん先生で、さてさてどうしましたかという感じで診てくださる。
受付で書いた問診票でもう背中の異変であると記入し提出しているため、
背中ね、と診てくださる。
実はもう何年も前の話なので少しおぼろげな記憶を辿っているのだけれど、
皮膚の状況に関して、こういうことあるでしょああいうことあるでしょ、それはね、乾燥肌の人がなるんだよ。
と、話して聞かせてくださった。
特に自分が乾燥肌だと思っていなかったので、へー、そうなんですね!
なんて、話を聞く。
皮膚科に来ているのに、なんだか占い師みたいだなとも思いながら。
さいごに、身体は手で洗ってね、ゴシゴシする必要はないからねと話し、
薬を出しておくから塗るようにと言われ医師の話は一通り終わった。
そこで私はちょっと聞いてみたいことを声に出してみた。
「あの先生、背中届かないんですけど、薬はどうやって塗ればいいですか」
流れるように話していた先生が止まる。
何を言い出すのだという空気を感じる。
先生は答える。
「それはね、ご家族に塗っていただくとか」
自分で塗らなきゃいけないときにどうすればいいかなと思って。と言うと、
なにか言われた気がするけれど、
覚えていないということは、きっと私が気に入る返答をもらえなかったのだと思う。
そんなものは自分で考えればよいということだろうと思うし、
まあ、確かに。とも思うのだけれど、
皮膚科の先生だから、裏技とか、なんか知っているのじゃなかろうかという気持ちがちょっと聞いてみたい気持ちを加速させてしまったわけである。
棒に薬でも付けて塗ったらよろしい
くらいに言われたらそれはそれで納得したのではと思うけれど。
なんとなく、しゅん、となりながら医院を後にしたのを覚えている。
子どもが、あのねあのねとキッチンにいる母親のわきであれやこれやと話しかけ、
「危ないから向こうにいなさい」と言われるときの気持ちに似ているような気がする。なんとなく。
そして今の私は知っている。
背中に薬を塗るための便利グッズが売られているということを。
もし、あの先生にお会いすることがあるとしたら、
「先生、一人でも薬が塗れる便利な道具がありました!」
と、得意気に話してしまうかもしれない。
でもきっとそれへの返答に、私はしゅん、となるような気もしている。
私の占いはきっとあたる。